Emonda SL5 Disc 2021を買う

「もう新しい自転車は買わない」

新しい自転車を買うたびに思うこと。でもメーカーも商売なので毎年魅力的な自転車が華々しく発表され、メディアが絶賛する記事を書き、大人しくしていた物欲がまた刺激され、自然と足が自転車店へと向かう。

こんなことをおよそ10年間繰り返すうちに自室に保管されているロードバイク、TTバイク、シクロクロス、フォールディングバイクは合わせて10台に。全部それなりの頻度で流石に増えすぎなので「もう買わない」と誓っていたものの、この夏を前に好みにドストライクなロードバイクが発表されてしまいました。

New TREK Emonda

正直なところEmondaはあまり好きなロードバイクではありませんでした。元々ロードバイクに乗り始めた時に選んだのがエアロ化する前の(シュレク兄弟が強かった時代の)Madone。その後順当にTREKの上位モデルに乗り換えようと思ったらMadoneはどんどんエアロ化してしまい、Emondaはスローピングがきつくなりどちらも自分の好みからは少し外れたものに。あと、ヘッドチューブが短いH1 FitはProject Oneでハイエンドフレームを買う以外に入手する術がない。以来、TREKのロードバイクは検討することもなくなり、Bianch Oltre XR2、Specialized Allexz Sprint、BMC ALR01、Cannondale Super Six Evo Hi-Modと乗り継ぐことになります(全部現役)。

シクロクロスだけはSRAMの油圧ブレーキですが、基本的にディスクブレーキ 否定派(重くなるし、見た目が好きじゃないから)。とは言え世の中の流行もありディスクロードは気になる存在ではありました。

そんな中で新しく発表されたのがエアロ風味を纏ったEmonda。
  • 軽量特化からエアロ風のフレームに
  • ディスクブレーキ 専用設計
  • 重量増はわずか(と言っていい)
  • ヘッドチューブが短いH1.5 Fitに統一
  • トップチューブのスローピングが緩い
  • リア三角が大きい
  • T47ねじ切りBB
 TarmacやSuper Sixなどいわゆるオールラウンダーに分類される競合のフレームが続々とエアロ化されるトレンドにTREKも追従する形でEmondaもただ軽いだけのバイクではなく、軽さとエアロを兼ね備えたフレームに進化しました。実際に速いかどうかは競技で使ってみないとなんとも言えませんが、ヘッドチューブやダウンチューブのエアロロード然とした造形は見た目にも美しく、単純に格好いい。

TREKはロードバイクのディスクブレーキ化に最も積極的なメーカーの一つですが、Emondaもこのモデルチェンジを機にディスクブレーキ 専用設計に。リムブレーキ車とは強度を持たせるポイントが異なるので、両方の最大公約数的なフレームを作るよりもどちらかに特化させた方がより軽量で必要な強度、剛性を持たせられるのは自明ですね。

重量は最高グレードのSLR9 eTap完成車で6.74kg。軽量化を突き詰めた先代は6kgを切ることも出来るバイクでしたが、競技で使う分にはUCI規定の6.8kgよりも軽くなっても意味はありません。その分ホイールを重くしたりすると却って遅くなることも起こりえます。なので、プロチームの選手が望む6.8kgで最も速いバイク(Madoneは最高グレードでも8kgに迫る)という要望は理にかなったものと言えます。

個人的に一番嬉しいのがヘッドチューブの長さ。2021年モデルの(カーボン フレームの)Emondaはヘッドチューブが全てH1.5 Fitに統一されました。私に合う54サイズで13.1cm。53サイズのOltre XR2で13cmなのでほぼ同じ長さになりました。旧モデルのH2ので15.5cm、H1で12cmだったので、H1.5は中間と言いつつややH1寄りの長さになっているのが分かりますね。短い分にはスペーサーを積めばいいですが、長いのは−20度などのステム を使わざるを得ず、見た目がよろしくありません。なのでH1.5 Fit化は非常に喜ばしいことです。

次も見た目に関わる部分ですが、トップチューブのスローピングが緩やかで、さらにそのままシートステーに繋がる形状がとても美しい。Super Sixもリア三角が小さいのが嫌であえてモデルチェンジ前のフレームをオーダーしたわけですが、TREK的にリア三角を小さくすることで得られるメリット(空力、乗り心地、強度)は小さいということなので信じたいと思います。踏み込んだときの反応の良さはリア三角が小さい方が良いという説も有力ではありますが・・・。

そしてずっと自社開発のBB90に拘ってきたTREKがとうとうスレッド式のT47に。個人的にはBB386、OSBB、PF30、PF30Aと使ってきてもBBの音鳴りに悩まされた経験がないので絶対にスレッドというわけでもないのですが、BBを交換する時にガンガンと叩き出さなくていいのは精神衛生上好ましいですね。今のところ使えるBBの種類が少ないのが問題といえば問題。

とまあ色々と考えながらメディアの記事やら速報的なブログ記事を眺めながらコロナ禍の日常を過ごしていたわけですが、長期化する外出自粛のストレスも手伝って(手伝ったことにして)、新しいEmondaを買おうと思うに至ったわけです。

SLかSLRか

現在の懐具合からするとSLRのフレームセットかSLの完成車が有力な候補。フレームの形状やジオメトリは同一。異なるのは素材がOCLV800か500か。公式サイトによると、56サイズでSLRは1.56kg、SLは1.91kgでその差は350g。フレームセットはそれぞれ398,000と200,000(税抜)価格差を考えるとSLがお買い得。軽いバイクとしてはSuper Sixがある。などなど考えること約2週間、EmondaはSLで十分という結論に至りました。フレームセットだとProject Oneにしないと色を選べないというのも大きな要因でした。

で、SL5

そんなこんなで最終的に選んだのがSL5のシルバー(Quicksilver/Brushed Chrome)。完成車で購入してコンポやホイールをそのまま使う前提であれば間違いなくSL6 Proをおすすめします。アルテグラでカーボンホイール付きで重量が8kgほど。ホビーライダーであればこれ以上いじる必要もないですし、ハンドルやステム を交換すれば7kg台に軽量化するのも簡単です。私の場合はコンポをスラムにしたい、ホイールは最高グレードものに換えたいというのが前提なので、色が気に入って安ければ他の付属パーツはなんでもOK。最終的にはフレーム以外全部別物になるはず。ということで色が一番気に入ったSL5のシルバーとなりました。SL6の濃いめのグレーも良かったのですが、黒っぽいフレームは他にも色々持っているので今回は趣向を変えてシルバー系を選んでみました。


105の完成車でクランクやブレーキも全て105で統一されています。コストダウンのためにクランクがシマノの無印だったりFSAだったりするのはよくあることですが、ちゃんと105が使われているのは好印象ですね。自宅に帰るまでの4kmほどの間の第一印象はとにかく重い。カタログスペックで9.15kgなので、ペダルも含めて9.5kg近い重量級。30万円未満のエントリーグレードなので仕方がない部分ではありますが、ハンドル、ステム、シートマストが全部廉価版のアルミ製パーツなのと、ホイール2kgを超えるであろういわゆる鉄下駄に28cの350gオーバーのタイヤが装着されているという筋トレ仕様です。この辺りを軽量パーツに置き換えるだけで容易に7.5kgぐらいのレースバイクに化けそうなので今後の軽量化が楽しみです。

ディスクブレーキ の効きは思ったよりもマイルドでこれならリムブレーキからの乗り換えでも違和感はなさそう。SRAM Forceのディスクブレーキはもっとガツっと効く感じですが、105は握力の強さに応じてじわっと効く感じでコントロールしやすい印象でした。

軽量化の行末についてはまた別の記事で。

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